百年目

川上健一の8つの恋愛短編集。舞台は全国8ヶ所のおまつりです。

五所川原のたちねぶた、刈和野の大綱引き、沖縄のエイサー、岐阜の郡上踊り、おわら風の盆、浅草酉の市、あきの蛍能、会陽裸祭り

祭りの日に起こる夢のような出来事、主人公達は祭りの日に再会します。昔想っていた人に、分かれた父親に。こだわっていた想いが心地よくほぐれていく、そんな小説集です。美しく描かれたまつりに行ってみたくなります。

「渾身」(相撲)、「ナイン」(野球)のスポーツものも心温まる小説でしたが、これも読んだ後に暖かくなります。

米朝の弟子、桂米二の上方落語紹介。

お馴染み18番の内容と、それにまつわる米朝の弟子時代のエピーソードです。師匠である米朝のエピソードが堪りません。

百年目、初天神、牛ほめ、千両みかん、くしゃみ講釈、猫の忠信、崇徳院、饅頭こわい、つぼ算、道具屋、宿屋仇、まめだ、代書、質屋蔵、かわり目、子ほめ、口入屋、たちぎれ線香

読んでいると、聴きたくなりますね、落語。やっぱり一番好きなのは百年目。たちぎれ線香と並ぶ大ネタです。賑やかで華もあって、ほろりとさせる名作です。

渾身

渾身
川上 健一

ちょっと前のアバンティで「今年一番の号泣本!」と目黒孝二が
薦めていた本です。
見ての通りの、相撲の話。相撲と言っても大相撲ではなく、隠岐
島の20年に1度行われる奉納相撲です。大相撲とは違って(?)
これが真剣勝負。これだけ相撲が奥が深いとは驚きです。

ほとんど一つの取り組みだけで1冊になっている、時間の
経過からするとほんと短い間を書いた本ですが、家族の想いで
熱くなる本です。


こちらは恩田陸。
男女2人の分かれる前の最後の夜の話です。
お互いに心理戦で、記憶をたどりつつ、謎に迫って
いきます。重い雰囲気ながら面白く読めるのですが、
読んだ後にすっきりしないのは、主人公に感情移入
出来ないからでしょうね。結構嫌な奴ですから。

記事を見てコメントする | 友だちに紹介する