
読み始めると止まらず一気に読んでしまった、沢木耕太郎の旅本。
旅本と言っても「深夜特急」のような自らの旅ではなく、第2次世界大戦末期に
内蒙古から敵国中国に密偵として潜入、チベットまで徒歩でたどり着き、
そこから、日本の敗戦を知り、インド、ネパール、さらにはパキスタンまで
足を伸ばそうとしながらも、インドパキスタン戦争により行けず、ビルマへ
行こうとしていた時に、捕まり日本に戻ってきた西川十三の旅を描いたノンフィクション。
西川自身の著書である「秘境西域八年の潜行」。
大幅にカットされたこの本を補うために、運命のごとく巡り合った 3,200枚の生原稿。
それを西川と著者との50時間近いインタビューなどから再構成した旅の話です。
日本人と分かると捕まるので、内蒙古人のラマ僧として、
敵軍、匪賊、寒さなどに耐えながら、見知らぬところを旅していきます。
過酷な環境ながら、前向きな思考、勤勉で真面目な生き方により、人を惹きつける
西川の魅力が旅を豊かなものにしています。
この本をベースに「秘境西域八年の潜行」を読むのが楽しみです。
